【報告】2023/11/25「ハルマキ100本ノック」出版記念トークライブ
2023年11月25日に東京・銀座の「ワインセラーローゼンタール」の島田由美子さんを招いて、トークライブを開催しました。料理記者の長沢美津子さんが京都から来て、トークのお相手をしてくれました。そして、東京から参加したwithnews編集長の水野梓さんがイベントリポートを寄せてくれました。
「ハルマキは、自由だ!」水野 梓
11月末とは思えない、あたたかい西日が降り注ぐなか、八ケ岳エコハウス「ほくほく」で開かれたのは「ワインセラーローゼンタール」の店主・島田由美子さんをお迎えしたトークイベントです。
ローゼンタールは、「本当にここにある?」とうたぐりたくなるような東京・銀座の雑居ビルの一角にある、ドイツワインと野菜料理の飲食店です。
その店主の島田さんは、自身を「ハルマキ課の課長」と名乗り、このほど『ハルマキ100本ノック』という本を上梓されました。
島田さんのハルマキは、いわゆる中華料理の春巻きとはちょっと違っています。
たっぷりの油は使わない(なんと大さじ4の油でおいしくできちゃう!)。巻き終わりの糊付けもしません。
そして「こんなものまで巻いちゃうの?」という具も巻いちゃいます。
ほくほくのイベントでは、参加者たちがハルマキ課のメンバーになって、実際にハルマキづくりにも挑戦しました。
ハルマキの皮の上に、天日に干したレンコンをのせます。その穴に、調味料代わりのちょっぴりのアンチョビを詰め、クルミを4粒ほど重ねて、ぎゅっぎゅっと巻いていくと、あっという間に完成です。
巻き終わりを下にして、大さじ4の油で、弱火でじっくり揚げ焼きするのがポイント。きつね色になったら、フライパンの側面も使いながら揚げ焼きする面を変えて火を通していきます。調理時間は20分ほどでした。
ワクワクしながら食べてみると、レンコンのサクサクほっこり感に、アンチョビの塩気がちょうどよく、口内に旨みが広がります。そこにカリッとしたナッツの食感とコクが重なって、あっという間に完食してしまいました。たしかに、これは、白ワインがほしい……。
島田さんがハルマキを作り始めたのは、おひとりで切り盛りするお店の調理場が狭いので、自然と「弱火調理」が多いことからだったそう。
ご著書に「私もそうですが、酒呑みはできるだけ長時間飲んで食べていたい生き物」とあるように、軽くておつまみになる揚げ物がないか模索していたときに、思い出したのがバイト先の中華料理屋さんで作っていたアスパラガスとロースハムの細い春巻きだったそうです。
トークイベントでは、「このハルマキの具には、どんな具が合う?」というハルマキ大喜利も開催。
「千切りのじゃがいも」「プルーン」という、「どんな味になるのか想像できない……」という組み合わせに、「あと1品加えるとしたら?」と聞かれ、わたしは「チーズ」しか思い浮かびませんでした……。
チーズは「何にでも合う万能食材」とのことで、著書『ハルマキ100本ノック』でも、出来るだけ頼らずにレシピを考案していたと島田さんは語ります。
島田さんのおすすめは「梅干し」。ハルマキの具のバランスを考えるときは、味が「まるい円」になるようにイメージする(欠けている味や食感を補う)といいそうです。
たとえば、ポテトとプルーンだと、揚げた芋の甘み、プルーンのねっとりした食感はじゅうぶん。ちょっと塩気がほしい……ということで梅の登場となるわけです。
2品目として出てきた「肉厚シイタケ」「ゴルゴンゾーラ」「生ハム」のハルマキもとってもおいしくて、これはやっぱりワインがほしくなる……。
料理の修業や勉強はしたことがないそうですが、ローゼンタールを任された当初、週1回ペースで来店するお客さんには「同じメニューばかり出すのも芸がないなぁ、と思って。鍛えられましたね」と笑います。
コロナ禍でお客さんが減り、当時は常連さんから「自分の料理に飽きた」という相談をもらうこともあったという島田さん。
お店が開けられず時間の余裕ができたこともあり、ハルマキレシピをどこかで紹介できないか……と考えていたときに、雑誌『HERS』のweb版の編集者が「うちでやろうよ」と誘ってくれて、連載が実現したそうです。
週1回、ハルマキのレシピを公開し、それが書籍『ハルマキ100本ノック』になりました。
本には「おいしいハルマキをつくる7ルール」や、切って巻くだけの初心者おすすめレシピ、余裕のある時のごちそうレシピも紹介されています。
自由に広がるハルマキの世界、これまでの春巻のイメージが一変される体験でした。
わたしもすっかりハルマキ課員のひとりになりました。ぜひ皆さんも試してみてください。
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