2023-06-29

【朝日地球会議×ほくほく】大学生が集結 持続可能な未来に向けたフィールドワーク開催 

 「危ぶむなかれ、危ぶめば道はなし。 踏み出せばその一足が道となり、その一足が道となる」

 この格言は、悪い人が良くない方向で使うと世の中が危ない方向に行くのですが、ぼくの行動指針として、わりといつも心の取り出しやすいところに置いてあります。

 6月24-25日、ほくほくと朝日地球会議が初めて手を組んで、新たな一足を踏み出しました。大学生を中心とした総勢17人が参加する初のフィールドワークです。

 朝日地球会議とは毎秋、東京で開催される大規模な国際シンポジウム→地球会議公式サイト。その地球会議が初めて、持続可能な社会の実現とアクションを大学生とともに考えるゼミ型式のプロジェクトを立ち上げました。その主な舞台がほくほくです。今回のフィールドワークには、自然エネルギー大学リーグに名を連ね、自然エネ100%大学として有名な千葉商科大と、東邦大学の学生が参加しました。

朝日地球会議 ほくほく エコハウス 千葉商科大学 東邦大学 梶原建築 チリウヒーター

 初ものづくしのプロジェクトは、みながほくほくに来てすぐ、ひとつ目の山場を迎えました。ほくほくのあゆみとエコハウスとしての機能、性能を知るための公開授業です。

 築40年の空き家を高性能のエコハウスに生まれ変わらせた立役者「梶原建築」の梶原高一さんと、日本で最も長い歴史を持つ太陽熱温水器メーカー「チリウヒーター」の川合英二郎さんが講師を務めます。

チリウヒーター 梶原建築
川合英二郎 梶原高一
ほくほくの工事担当・梶原高一さん(右)と事務局の川合英二郎さん


 普通に考えれば、東京から移動してきた後の、天気のいい昼下がりとあれば、これはもう睡魔に襲われるしかありません。

しかし、 

 英二郎さんが連日のように早朝に起きて中身を考え、はたから見れば力を注ぎすぎだろう、というほど根をつめ、知力と労力を注ぎ込んだスライドが次々と繰り出されます。梶原、川合、両氏の語りも熱を帯びてきました。本来、傍観していればいいはずの千葉商科大の准教授、田中信一郎さんも後方席から身を乗り出すように合いの手=愛の手を入れ続ける。燃えさかる火に薪をくべている状況です。

だから、誰も寝られない。

 参加者の様子を見ていると、確かに眠気に襲われている人はいる。けれども、それぞれが、話を聴き逃すともったいない、おもしろいからカクンとしても、落ちてもいけない。そう考えて話にくらいつく様子が伝わってきました。

千葉商科大学 東邦大学 学生
寝る暇を惜しんで、話に耳を傾ける

 結局、学び多き授業は盛り上がって3時間にも及びました。

千葉商科大学の手嶋進さん、田中信一郎さん、杉本卓也さん 教授 准教授
先生たちも楽しむ。左から千葉商科大学の手嶋進さん、田中信一郎さん、杉本卓也さん


 このリポートを書いていても熱い授業を思い出して、分量がだいぶ長くなりそう。だからここからはサラッといきましょう。


 座学が終わったので体を動かそうよ。ということで、再エネ100%の暮らしを体験してもらうワークを実施しました。ワークといってもやることは、伐採して置いてあった木をほくほくに運んでもらうという単純労働です。しかし、これだってエネルギー自給には欠かせない大事な仕事、誰かがやらねばならぬのです。

ひとりでやると思って途方にくれていた作業も、みんなでやったらすぐ終わる。助かりました

 斧での薪割りは人生初挑戦の人ばかり。薪がパカッと割れると自然と拍手がわき上がります。誰かがやらねばならぬ。けれど、ひとりでやると苦しくてつらいので、放っていた「エネルギー自給」の営みが、みなで取り組むとまたたく間に健康的で爽やかな時間に変わり、印象的な思い出になるのだから不思議です。

人生初の薪割り。なのに、体重が乗っていい振りです。また来てね
見本演技を決めて拍手喝采を受ける英二郎さん。なのに恥ずかしくて喜ばない感じが・・・


 宿泊は「清泉寮」でお世話になりました。キープ協会のみなさま、ご協力ありがとうございました。今回はハードスケジュールで宿泊だけになってしまったのが残念でしたが、次回は必ずや、朝の清里高原の森散策ツアーを実現したいと思います。

星瞬く清泉寮の夜(鵜飼誠さんが風呂上がりに撮影)

 迎えた2日目。朝は朝日新聞で「ラジオ体操のすすめ」と名付けた連載を終えたばかりだった僕のうんちく付き「ラジオ体操」でスタート。その心は、「身に染みついて忘れないラジオ体操くらい、エコハウスを社会で当たり前のものにしたい」(by 英二郎)です。

模範演技者として率先してみなの前へ躍り出たのは地球会議の斉藤智子さん(右)

 ほぐれた体でそのままグループディスカッションになだれ込みました。2チームにわかれて、ほくほくで感じたことや誰にどんな風にアプローチすれば活動を広められるのかを、とにかく付箋に書く。話す。

今回のツアーで一番楽しんでいたのは田中信一郎先生ではないだろうか

 その成果を緊張しながらもみなの前で発表をする姿に、ぼくはひとり、こころふるえて、泣きそうになっていました。最近、なぜか涙もろくていけません。もうすぐ人生閉じるんでしょうか。

すばらしい発表でした。序盤、この調子でいくと、最終的な地球会議ではどんなレベルにまで行ってしまうのでしょうか。ただ崇高な目標を語るだけではなく、大事なテーマは実践ですから、浮ついていません。地に足が着いています。

 学生も、大学の先生も、ほくほくの人たちも、運営のみなさんも、みんながそれぞれの立場で一生懸命課題に向き合い、めいっぱい楽しんだ2日間でした。

 初めての試みは慣れないことばかりです。準備も大変で、苦しいときもある。でも、前年踏襲の甘味に心奪われることなくアクションを起こしたからこそ、出会える人がいて、体感できる貴重な時間がある。そう、改めて感じたほくほくでのフィールドワークでした。

冒頭に紹介した「危ぶむなかれ 危ぶめば道はなしーー」の言葉はこう続きます。

「 迷わず行けよ、行けばわかるさ」

 ここは、ぼくは迷ってもいいと思っている。迷いながら、でも、より良い未来をつくるために考え、一足を踏み出す。地球がおかれた環境を考えていたら、立ち止まっている時間はありません。朝日地球会議の発表まであと半年、駆け抜けましょう。(斎藤健一郎)

時にこどもみたいな、運営を支えるおとなたちの記念撮影

(追記)合宿のおわり、「忘れ物しないでね」とよびかける立場の人が、さっそく忘れ物をしていきました。ありがとう。また来るんだね。ほくほくは「忘れ物大歓迎。だって忘れたら、また来られるでしょう」と言っています。

フォーゲッターは詩を読む人(ヒント)。ほくほくは忘れ物推奨です

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