望年会という名前の忘年会
「今年の忘年会は、なんで手巻き寿司をやろうと思ったの?」と聞かれ、
「コストコの5,000円のいくらを見て思いついた」と答えました。
食べるよりも、飲むほうがいい人もいます。
外食にすると忘年会金欠にもなりますし、ドライバー問題もあります。
いろいろ考えたうえでの提案でしたが、健一郎さんの答えはいつもと同じ、
「いいですね〜」でした。
山梨県は海なし県なのに、1人あたりのマグロ消費量は全国トップ3の常連です。
富士山を共有する静岡から新鮮な魚が入ってくるからでしょうか。
そのためか、甲府の母国には一般の人でも行ける市場があります。
健一郎さんと、るるさんと3人で買い出しに行きました。
るるさんは、健一郎さんが取材先で出会ったご縁があり、
ほくほくは今回が2回目の訪問です。
市場では、マグロのぶつ切りのほか、ヒラメを刺身用におろしてもらいました。
中トロの柵もありましたが、迷っているうちに売り切れ。

雑然と並ぶ魚だが美味しそう。
会計を終えて帰ろうとすると、店のおやじさんが
「これ、食べる?」と、メザシがぎっしり入ったパックを手渡してくれました。
一緒に買い物をしていたるるさんが、メザシをじっと見つめていたのを、
おやじさんはきっと気づいていたのでしょう。
この店に来るときは、またるるさんに一緒に来てもらおうと思っています。
ほくほくに帰ると、入口にはミニトマトや根菜がずらりと並んでいました。
佐藤博士さんが無農薬で育てた野菜です。
博士さんは、ほくほくのオフグリッド工事の監修者であり、
リノベーションワークショップ皆勤賞の古参メンバーでもあります。
博士さんには、翌朝の野菜たっぷり味噌汁を作ってお願いしてありました。
野菜は控えめに持ってきてくださいと伝えても、しっかり大盛りです。
お酒を飲む量も大盛りでした。
博士さんの「控えめ」は、だいたい大盛りです。
ぽつぽつとやってくる仲間と話をしながら、のんびり刺身の準備をしていたところ、
肝心の米のことを忘れていたことに気づきました。
健一郎さんに米を炊いてもらい、ネットで調べながらシャリの準備をします。
炊き立ての米に、うちわであおぎながら酢を混ぜるとレシピにはあるのですが、
……うちわ?
あるある
朝ポキ(朝日ポッドキャストのリスナーの略)のうちわです。
本棚の左端に差し込まれていた“ポキうちわ”が、大活躍でした。

ポキのうちわが活躍した。
開始予定時間の17時30分になると、ほぼ全員が集まりました。
忘年会のメンバーは、新しくほくほくに来てくれた人と、
参加予定だった古参のメンバーが入り混じっています。
初めて顔を合わせる人もいるため、自己紹介の時間はしっかり取られました。
今回の自己紹介で印象的だったことが二つあります。
まずは、小学5年生の金子岳くんです。
はだしの研究者・金子潤さんと、
ビブラムファイブフィンガーズの金子みほさんの息子さんで、
ほくほくで出会ってから3年以上になります。
自己紹介の途中で、岳くんの趣味が
「日本の100名城を巡ること」だと分かり、
これまで行った中でのトップ3当てクイズが始まりました。
小学生の答えが、大人の知識の範囲に収まると思ったら大間違い。
姫路城? 小田原城? 山梨のお城?
と口々に候補を挙げましたが、岳くんは笑みを浮かべながら首を横に振ります。
皆の予想は外れました。
第三位は、静岡県の山中城です。
山城の中でも見ごたえがあり、
障子堀と呼ばれる網目状の堀の底が「おいしそう」だから、というのが選定理由です。
ワッフルの網目に例えらることが多いことは、スマホで調べて納得でした。
第二位は、大分県の岡城です。
歴史が古く、石垣の迫力があったからだと岳くんは言います。
ネットで確認すると、明治時代の廃藩置県により取り壊され、
石垣のみが断崖絶壁にそびえている城でした。
第一位は、沖縄県の中城(なかぐすく)城です。
本州の城とは雰囲気が異なり、異国文化の香りがする一方で、
敷地の区切りとなっている扉の石の形が自然だったところに惹かれたそうです。
岳くんの評価は、知名度や見た目にとらわれていません。
あどけない一面はありますが、
本質を見抜く力は、本人の好奇心と、
それを伸ばす育て方の積み重ねによるものなのだろうと思いました。
次に盛り上がったのは、うんこの話です。
金子みほさんと岳くんの住まいはバイオトイレです。
排泄物を水洗や汲み取りのようにどこかへ運んで処理するのではなく、
バクテリアなどで分解し、土に還す仕組みになっています。
自宅とカフェをセルフビルド中の三橋大地さんのトイレは、
水栓とバイオトイレを組み合わせたタイプだそうです。
佐藤博士さんと、
伊那の地域おこし協力隊で、今年ほくほく3回目の参加となる
佐藤純子(すみこ)さんは、映画『うんこと死体の復権』に
共感していると話してくれました。
タイトルに驚きますが、『うんこと死体の復権』は、
うんこや死体が自然の中でどう命をつないでいるかを描いた、
まじめで静かなドキュメンタリーです。
手巻き寿司の刺身を前にして、
うんこの話題が自己紹介の輪をつないでいく、
なんとも妙な空気感でした。
ほくほくは、電気を買わない暮らしと、生ごみのたい肥化はできていますが、
雨水や井水の利用、排水のエコ化までは手が入っていません。
やるか、やらないかは別として、
やれることはまだまだあると感じました。
一年の振り返りや翌年の目標も交えながら、
自己紹介とは言いながらも合いの手が入り続け、
8人分で1時間30分ほどかかりました。
22時過ぎに永田一庸さんが、
「ハーゲンダッツのアイスを持って、今から行ってもいい?」
と健一郎さんに電話がかかってきました。
ハーゲンダッツは好物なので、それを待ち、
ぼくは翌日までのオールではなく、
その晩22時に泊まらずに帰りました。

二回目の集合写真。金子みほさん岳君が帰って、永田さん(右から2人目)が加わった。
あとで聞いた話では、博士さんは2時過ぎまで飲み、
早朝から手塩にかけて育てた有機野菜たっぷりの味噌汁を、
朝食に準備していたそうです。
「とても美味しかった」食べた人それぞれから
LINEが送られてきて、心からいいなあと思いました。
古参のメンバーも、新しくやってきた人も、
先に帰る人も、後から加わる人もいます。
そうやって、ほくほくは続いていきます。
(川合えいじろう)

良く飲む二人。手前の瓶はプリンセスサリーというお米で作ったお酒。

自分がつくった朝食を食べるみんなを撮影する気持ち。よくわかります。

群馬の佐藤さんから伊那の佐藤さんへ太陽光パネルの授与。二人とも苗字は佐藤だけど血縁関係はありません。

ぼく(えいじろう)が壊したトイレットペーパーホルダーを直す菊地さん。







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