8/5,6 節電・創エネ 子どもワークショップの報告
「ペットボトルは倒したほうが陽が当たってよく沸くと思うよ」
とにかくやってみようと開催した子ども対象のワークショップ。参加者(子ども)から的を射た指摘に冷や冷やすることが何度もありました。
8月5日(土)6(日)にほくほくで行ったワークショップは、子どもに節電と再エネについて学んでもらおうと思い、節電家の斎藤健一郎さん、ソーラー博士こと佐藤博士さんと太陽熱屋の私、川合英二郎の3人が先生役を務めました。
ワークショップはこんな3部構成です。
- ペットボトルでお湯を沸かす
- ワットチェッカーで電化製品の消費電力を調べる
- 自分で電気を作ってみる
1.ペットボトルでお湯を沸かす
透明のペットボトル、黒塗りのペットボトル、大きめのステンレスボールにいれた黒塗りのペットボトルのどれが、温度が一番あがるのか。それぞれを比較する実験をしました。ペットボトルを立てて置いていると、小5女子からするどい一言がーー。「ペットボトルは倒したほうがたくさん陽があたってよく沸くと思うよ」。
その通りです。この時期、午前10時にもなると太陽はだいぶ高い位置にあります。ペットボトルを立てたままだと陽のあたる面積が小さくなるので沸きも悪い。それを小学生が看破したのです。
実験開始の時に24℃だった水は、それぞれのペットボトルでどのくらいまで温度が上がったでしょう。
結果は透明ペットボトルが39℃、黒塗りが43℃、集光器ありの黒塗りは56℃でした。そう、以外と大きな差がでるのです。家庭で使われるエネルギーの1/3は給湯です。現実的ではないかもしれませんが、2㍑の黒塗りペットボトルと集光装置をずらっと100セット並べれば、わずか2時間でお風呂に十分に入ることのできる湯ができあがるのです
2.ワットチェッカーで電化製品の消費電力を調べる
月の電気代170円台で暮らせるまで節電道をきわめた健一郎さんの5アンペア生活の追体験です。スイッチをこまめに切って節電をするのことも悪くはないですが、電気食い虫の電化製品が何かを知っておけば、より効果的に節電が出来ます。
そのために普段は見えない電気を「見える化」しました。使ったのは「ワットチェッカー」です。ワークショップでは、ドライヤーや電子レンジなど、消費電力の大きい電化製品をワットチェッカーにつないで次々と見える化していきました。表示された数字を読み上げると、子どもたちは小さな液晶の窓をのぞきこみ「すごい800ワットこえた」「1.3㌔ワットって何?」と声をあげます。照明器具やスマートフォンの充電のための消費電力が5ワットとわずかだったことにも驚いている様子でした。
ワークショップで冷蔵庫の消費電力を調べている途中で、扉を開けても消費電力が上がらないのを見て、「えっ、ちょっと待って、一回扉閉めて」「はい、扉開けてみて、何ワットになった? 何ワット??」と健一郎さんがぐいっと前に出てくることがありました。
ほくほくにある冷蔵庫は2021年式と新しいものです。健一郎さんが5アンペア生活を開始した2012年当時から大きく進化を遂げていて、扉を開けても電力消費がはね上がることがなくて驚いていたのです。もしかすると、子ども連れてきた親の方も学びがあったかもしれません。
3.自分で電気を作ってみる
当初は自分で自転車をこいで電気を作ってもらうだけの予定だっところ、博士さんが炭発電、水道水力発電、風力発電、太陽光発電も準備してくれて豪華な自家発電ラインナップになりました。
炭が電池?水道の水の流れでも電気が!
炭につないだ電球が光ったり、扇風機の風で電球が光ったり、ホースにつないだ発電機で電気を作ったり、電気の作り方の可能性を感じてもらえたのではないでしょうか。
でも一番人気は自転車こぎ発電、通称“原始力発電”です。大人が高速で漕いでも40W程度しか発電できません。電子レンジのトースターが1300㍗、ドライヤーが1200㍗の電力を消費するので、30~40人で漕がないと動かせない計算になります。そういう数値的なことよりも、一生懸命に原始力発電所で発電することが楽しい様子でした。※インスタのリールでも紹介しています。
このワークショップの中で、博士さんが日本の商用電力の発電比率を問う場面がありました。二酸化炭素を排出する火力発電が7割と最も多いことは誰も答えられませんでした。後から調べてみると、発電比率は中学校の地理で学ぶようです。2050年にはこの7割を再エネなどに置き換えないとカーボンニュートラルの社会は実現できません。脱炭素に本気で向かうなら、小学生のうちから一般常識として知っておくべきことのように思いました。
ワークショップのおたのしみとして、光るスライムづくりを用意していました。1日目のワークショップに参加したCちゃんが混ぜ方、調整の仕方など知識が圧倒的で、大人が教えてもらう結果になりました。2日目のワークショップでは光るスライム作りの時間が無くなってしまってごめんなさい。
ほくほくは建物の断熱気密を上げ、太陽光発電と蓄電池、太陽熱温水器、薪ボイラー、薪ストーブを駆使して、電気やガスを買わない快適な暮らしを実現しています。ほくほくを見に来る人たちは、この暮らしを“特別”と考える人がほとんどですが、再生可能エネルギー100%で地球にダメージを与えないほくほくの暮らしを2050年には“普通”にしたい。そんな想いを込めて、今回のようなワークショップなどの活動を続けていきます。
※このワークショップで使ったEXCELの特製自由研究記録シートはご希望があれば提供いたします。お問合せページからメールをいただければ返信いたします。 (川合 英二郎)
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