2026-07-27

260719ほんとに暑かったイベント報告

イベント開始の15分前、
いつもの駐車スペースで小さな渋滞が起きていました。

車を誘導し、ほくほくまで続く200mほどの坂を上っていくうちに、
顔は真っ赤。汗がだらだらと流れ落ちます。

ほくほくの玄関に置かれた温度計は、35℃を示していました。
まだ開始時刻前だからと、外で待とうとする参加者の方も
いましたが、遠慮している場合ではありません。

一刻も早く、“ほくほく”の中へ避難してもらうことにしました。

◆今回のテーマは、「夏を涼しく暮らすためのヒント」

ほくほくの涼しさを実際に体感しながら、その理由を学んで
もらおうという催しです。北杜市に移住してきた方をはじめ、
お隣の長野県、静岡県、東京都。遠くは群馬県、愛知県、
そして三宅島から飛行機に乗って参加してくださった方もいました。

本当に、感謝、感謝です。

名物自己紹介 撮影: 佐藤博士

参加者は12名。そこに、斎藤健一郎さん、
ほくほくのワークショップ皆勤賞の佐藤博士さん、
そしてぼくを加えると、室内には15人が集まりました。

人の体からも、一人当たり100W前後の熱が出ると
いわれています。15人が集まれば、それだけでも
小さな暖房器具を何台か動かしているような状態です。

さて、当日はどんな様子だったでしょうか。

高性能なエアコンを使っているから、大丈夫だったろう
と思うかもしれません。もちろん、エアコンの性能
も大切です。

しかし、夏を涼しく暮らすために、
エアコンより先に考えたいことがあります。
それは、できるだけ家の中に熱を入れないことです。

今回、ほくほくでお話ししたことなど一部ご紹介します。

 

◆夏の暑さは、まず日差しを防ぐ

夏を涼しく暮らすためには、まず次のような順番で考えます。

1.日差しの侵入を防ぐ
2.窓や断熱の性能を高める
3.気密と換気を整える
4.エアコンを適切に選び、使う

なかでも、最初に考えたいのが日差しです。

断熱性能の高い家でも、窓から強い日差しが入れば、
室内はどんどん暖められます。

特に注意が必要なのが、東と西の窓です。
南側の窓は、夏の高い位置にある太陽を、
軒や庇で遮りやすいという特徴があります。

一方、朝夕の太陽は低い位置にあるため、
東西の窓には、軒だけでは防ぎにくい日差しが入ります。

夏の暑さだけを考えれば、
東西の窓は小さくするのが基本です。
大きな窓を設ける場合は、
外側で日差しを遮る工夫が重要になります。

ほくほくの場合、東側には切り立った森があるため、
朝日についてはあまり心配がありません。

東は森。一方西側は南アルプスに陽が沈むまで容赦なく西日が射す。画像は一部加工 撮影:藤井克己

問題は、西側です。

南アルプスや八ヶ岳の眺望と引き換えに、
午後になると、あぶられるような西日が
室内へ差し込みます。

ほくほくの西側の壁は断熱を強化し、
窓には日射遮蔽型の木製トリプルサッシを採用
しています。それでも、窓の外側で日差し
そのものを防ぐ方が効果的です。

そこで今年から、西側の大きな窓に
よしずを設置しました。よしずは、日差しが
窓ガラスに当たる前に遮ってくれます。

カーテンやブラインドを室内側に付ける
方法もありますが、いったん窓を通過した
日射は、すでに室内へ熱として入っています。

同じ遮るのであれば、窓の内側よりも
外側の方が効果的です。

窓の大きさやガラスの種類によっては、
窓から入る日射熱が、電気ストーブを
何台かつけたような大きさになることもあります。

よしずや外付けシェード、グリーンカーテンは、
特に東側と西側の窓で効果を発揮します。

高価な設備を導入する前に、まずは日差しを防ぐ。
これは、比較的低予算でできる、効果の大きな暑さ対策です。

◆6畳用エアコン1台で足りたのか

答えは”足りた”です。

この日のほくほくでは、30畳ほどの室温を
26℃前後をなんとかキープできていました。

さすがに、熱くなった30畳の室温を、ぐっと下げる
ほどのパワーは6畳用エアコンにはありません。
熱意ある15人分の熱も加わっています。

午前中から、エアコンを動かして、建物自体が
熱をためこまないないように、ひと手間かけて
いました。

また一般的な住宅で同じことをすれば、能力が足りず、
室温を下げられない可能性があります。

ほくほくでは、断熱、気密、窓、日射遮蔽によって、
外から入ってくる熱を小さくしています。エアコンを
大きくする前に、エアコンが頑張らなくてもよい
建物にする。

そういった工夫を積み重ね、
ほくほくの涼しさは生まれています。

とは言え、室内15人、外気温35℃で涼しく過ごすのは
ぎりぎりだったように思います。次回から夏のイベントの
募集人数の上限は運営側含めて15人にしようと思います。

よしず効果 なんとか26℃台維持 撮影:佐藤博士

◆では電気は足りたのか

結論、電気は十分でした。

6畳用エアコンでも、立ち上がり時や外気温が高いときには、
機種によって1,000W前後、場合によってはそれ以上の電気を
消費します。

ほくほくのエアコンは消費電力がモニターで
見ることができます。強運転をしている時には600W消費して
いるので、常に600W程度を消費していたものとして考えます。

一方、お昼から15時ごろにかけて、ほくほくに設置された
2.7kWの太陽光発電は、2,000W前後を発電していました。

単純に計算すると、2,000Wの発電から、エアコンの
600Wを引いて、1,400W。冷蔵庫や照明、換気設備などにも
電気を使うため、実際に1,400Wがそのまま余るわけでは
ありません。

それでも、この時間帯は太陽光発電量が消費電力を上回り、
バッテリーの残量は増えていき、そして14時過ぎには、
バッテリーが100%になりました。

外は35℃。室内ではエアコンがほぼフルパワー。それでも、
太陽が出ている間は、エアコンで使う以上の電気を太陽光発電で
つくることができていました。

夏の暑さは厳しくなっていますが、晴れた日ほど
太陽光発電量が増えやすいことは、冷房との相性のよさでも
あります。

ただし、太陽光発電の電気がいつも余るわけではありません。
曇天時や夕方以降は発電量が下がります。

日差しを防ぎ、冷房負荷を小さくしておくことが、
ここでも重要になります。

◆新築でなくてもできる暑さ対策

今回の話を聞いて、「高断熱住宅でなければ、できないのでは」
と思う方もいるかもしれません。確かに、壁や屋根の断熱性能を
大きく改善するには、ある程度の工事が必要です。

しかし、日差しを防ぐ対策は、今の住まいでも比較的
取り組みやすいものです。

特に効果が期待できるのは、
・よしず
・すだれ
・外付けシェード
・グリーンカーテン
・窓の外側に設ける日よけ
などです。

まずは、夏の午後にどの窓から日差しが入っているかを
確認してください。床や壁に強い光が当たり、その部分が熱くなって
いる窓があれば、そこが優先して対策する場所です。

家全体を一度に変える必要はありません。
最も日差しの強い窓を一つ遮るだけでも、
体感が変わる可能性があります。

 

◆マンションではどうするか

当日は、マンションにお住まいの方からも相談がありました。

マンションの場合、共用部分との関係や管理規約があるため、
戸建て住宅のように自由に窓の外側へ日よけを設置できないことが
あります。まずは、管理規約を確認する必要があります。

設置が認められている場合は、落下しないように固定できる
外付けシェードなどが有効です。外側で遮ることが難しい場合は、
窓用に設計された遮熱スクリーン、ブラインド、カーテンなどを
利用する方法があります。また、窓そのものの性能を上げる
内窓の設置も効果的です。

2026年度も窓の断熱改修を対象にした補助制度があります。
対象となる製品や工事、申請方法には条件がありますが、
利用できれば窓改修の負担を抑えられる可能性があります。

マンションは、戸建て住宅に比べて外壁や屋根の面積が少ない住戸も多く、
窓の影響が相対的に大きくなる場合があります。

そのため、窓の日射対策と断熱改修は、優先して検討する価値があります。

最上階や角部屋は外気温の影響を受けやすいので、断熱改修も視野に
いれた方が良いかもしれません。ぜひほくほくに相談下さい。

◆まずは、熱を入れない

涼しく暮らすためには、エアコンの設定温度を下げる。
もっと大きなエアコンに交換する。
そういった方法もあります。

しかし、その前に、家のどこから熱が入っているのかを確認することが大切です。
特に窓から入る日差しは、目で見ることができます。

日差しが入る前に、外側で防ぐ。
窓や壁から入ってくる熱を減らす。

そのうえで、必要な分だけエアコンを使う。

涼しさは、機械でつくるだけのものではなく、
熱を入れない工夫によってつくられるものでもあります。

そんなことを、ほくほくの涼しさとともに体感してもらった一日になりました。
(川合 英二郎)

【あとがき】

ほくほくのお話会は、かれこれ20回以上開催しています。
斎藤健一郎さんとぼく(川合英二郎)も、今では目くばせだけで、
「次はあの話をしよう」とか、「ここは省略しよう」といったこと
が分かるようになりました。

今回もそうでしたが、よしずをいつ外すかまでは
打ち合わせていませんでした。

15時前、健一郎さんが突然よしずを片付け、室内にもどって
きました。真夏の空気にぼんやりとかすんだ南アルプスが
姿を現しました。

その代わりに、日射遮蔽型のトリプルガラスですら、
じりじりと日差しに押されているように感じます。
「涼しさを優先するなら、よしずは出したままのほうがよいのに。」
そう思いながら健一郎さんの首元を見ると、
たまのような汗をかいていました。

気温35℃の屋外に出て、よしずを片付けてまで、
参加者の皆さんにほくほくからの眺望を見せたかったのでしょう。

逆光の中で話をつづけた健一郎さんは、参加者の皆さんには、
少し後光が差しているように見えたかもしれません。

汗をかきながら熱弁の健一郎さん 撮影:江原美智子さん

電気の話になると佐藤博士さん 撮影:健一郎

内窓の効果は触ればわかる。あつっ 撮影:佐藤博士

イベント当日の朝食。佐藤博士さんの有機野菜。ぼくは謎野菜と呼ぶ。 撮影:佐藤博士

関連記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA